曲だけ聞くのはもったいない!
はい、みなさんこんにちは。今回はYOASOBIさんの楽曲「大正浪漫」の原作小説について紹介していきます!
僕がYOASOBIを知ったのはThe First Takeの「夜に駆ける」からですが、2021年の夏あたりから結構聞くようになりました。
もちろん「大正浪漫」も配信当日に聴きましたよ!
というわけで原作小説も読んでみようかと思い、こちらを手に取りました。
内容としては、まさに最近の王道!のような気がしました。
後半でも書いていますが、「君の名は。」をはじめとした新海誠作品が好きな人は結構楽しめると思います!
そして、想像以上に歌詞やMVのアニメーションが原作を表現しているということも分かりました。(よく考えたら、もしオマージュ程度だったら多くのアニソンと変わりませんね。)
「小説を音楽にする」がコンセプトだからこそ、ここまでガッツリ表現されているんだな、と思いました。
驚きの展開についても書いているので、ネタバレ注意です!
始まりは一通の手紙
2023年の中学生「時翔(ときと)」が100年前を生きる少女、千代子と文通をする。
というのが物語の中心です。机に置いておくと、いつの間にかなくなる手紙。最初からSFを感じます。
そうして文通を重ねていく度に自分の恋心を自覚する時翔。手紙に一目でいいから会いたいと書くほどです。
しかし、君が生きる時代の明日、ちょうど100年前に起こった関東大震災に気付き…。
それ以降、書いた手紙はなくならず、千代子からの手紙も途絶えてしまいます。
『大正浪漫』のリリースが2021年なので、なぜ作中では2023年なのかと思いました。
2023年はちょうど関東大震災の100年後にあたるんですね…。
遥か彼方100年先を
今度は千代子視点での話です。「女のに」といった言葉のようなジェンダー要素も入っており、単なるラブコメで終わらせない話となっています。
そして気になる震災後の話も語られます。
どうにか関東大震災を生き残った千代子(良かった!)。一気に時は進んで行き、結婚を通り過ぎ、そして戦争さえも越え、死の間際まで来ます。数ページの間にびっくりするほど時が経過していますね。
そして子どもにある頼みをする千代子。一体なんでしょうか…。
八千代越えても
時代は現代(2023年だから未来か)に戻って、今度は女子大生「美月」がメインキャラとなります。
いったいどう話が繋がるのかと思いましたが、どうやら美月の弓道の師匠が千代子の息子のようです。そして千代子が息子に頼んだのは時翔を見つけることだと分かります。
東京に住む一人の男の子を見つけるという無理難題ですが、奇跡が重なり、どうにか時翔に手紙を渡すことに成功します。
君があの日を越えて僕に書いた最後の恋文、が時翔の元に届いた瞬間です。
どうやら一章のラストは千代子からの最後の手紙が届いた後だったようですね。
一章のラストは手紙が途絶えてから半年が経過する頃でしたが、てっきり途絶えたままなのかと思いました…。
これはすごい! 完璧に騙されました!
原作小説『大正浪漫』を読んでの感想
ここからは僕の感想を中心に書いていきます!
新海誠を思い出すストーリー
時空を超えたボーイミーツガールと言えばこの人、みたいなイメージがありますが…。
例えば手紙が届くのには20日くらいのギャップがあるところは「ほしのこえ」を思い出します。
また、章ごとに話ががらっと変わるのも「秒速5センチメートル」のような…。
後はやはり「君の名は。」ですね。2人の設定自体が瀧くんと三葉そのままという気がします。三章で時翔を探しに行くところも、なんとなく「君の名は。」を思い出しました。
切ない恋模様とグッとくる展開、最高ですね!
まあこのような感じで、新海誠作品が好きな方にとってはかなり楽しめるものになっていると思います!もちろん他の方にもおすすめ出来ますけどね笑!
YOASOBIの「大正浪漫」と合わせて!歌詞がストーリーそのままだと気づくはず!
やはり曲と合わせると10倍楽しめますね。曲の歌詞が想像以上に作品の通りで驚きました!MVの映像も小説の表紙絵そのままですし。
相乗効果で作品と曲の両方をさらに好きになれそうです。ちなみにこの記事の中に歌詞を散りばめてみました笑。
この作品は小説投稿サイト「monogatary.com」での企画「夜遊びコンテストvol.2」で選ばれた『大正ロマンス』を大幅に加筆したものとなっています。
作者は「NATSUMI」さんという方です!
つまり「曲にもなった小説」というより「曲にするために書かれた小説」ということです。
だから曲と小説のシナジーがこんなにあるのね
複雑に絡み合う人間関係と伏線がすごい!
小説『大正浪漫』は時翔と千代子の2人以外にも様々なキャラクターが登場します。そして、彼ら彼女らの間にも多くの関係性と伏線が存在しています。
一回読んだだけでは気付かないものもあり、分かると非常に面白いです!
時翔は千代子の親友のひ孫!
これは気付いた時に鳥肌が立ちました。プロローグでは、時翔の曽祖母がこの名前を付けたがっていたことが語られます。
また、曽祖母の子供や孫が全て女性だったため、ひ孫に「時翔」という名前が付けられたことも。
そして第二章まで読み進めると、、、千代子の親友である信子との会話で、「信子に子供が生まれたら時翔という名前にしたらどうか」という話が登場しました!
ちなみに、「八千代越えても」で書いた通り、千代子には息子がいます。
つまり、、、千代子の親友である信子は、時翔の曽祖母だということです、、、!
現代編でも伏線が…美月と時翔の意外な接点
そして、現代編となる一章と三章でも繋がりがあります。
一章で登場した、時翔と同じ塾に通う芽衣ちゃん。彼女は時翔の親友と弟から好意を寄せられていました。
しかし2人の告白は断られ、芽衣が時翔に恋愛について相談するシーンが登場します。初見では完全に、芽衣→時翔なのかな?と思いました。
が、実際に好きだったのは三章で登場する美月…?!
三章で明かされることですが、芽衣と美月の2人はSNSで知り合い、交流を重ねていたようです。
千代子の想いが時翔に届いたように、美月と芽衣に関しても良い未来がありそうです!
文章による説明だけではなかなか難しい部分もありますので、下に関係図を載せておきます!
(「サツキ」と「MOON」はSNSでのアカウント名です。)
過去と未来、東京と地方。『大正浪漫』はまさに時空を超えた物語だと言えるでしょう…。
テンポ良く進み、小説を読み慣れていなくても大丈夫!
本を開くと分かると思いますが、文字が大きく行間も広いです。普段は本を読まない人でも読みやすいと思います。
これと関連する話ですが、ほぼ最小限の内容だけを書いて話が進んでいくので、あっという間に作中の時間が経過して行きます。非常にテンポが良く、この作品独特の雰囲気です。
心情描写がもの足りないところ(100年前の人と文通しているのに驚きが薄そう笑)もありましたが、恋心などの描写は非常に丁寧です。
よく小説を読む人は文字の少なさが気になるかもしれませんが、あえてメリハリを付けているんだろうな〜とも思いました。
また、多くの伏線にはかなり驚きました。正直言って、ちょっと舐めてました…orz。
このように曲を抜きに考えても十分おすすめできる小説でした!でも読む時は曲と合わせていただきたいですね!それではまた!