数学の魅力が良く分かる!かもしれないし、分からないかもしれなーい。
と言うわけで今回は「青の数学」シリーズについて紹介して行きます!この作品を一言で表すと、数学大好き少年少女のそれぞれの戦いが描かれる、と言ったところでしょうか。
まあ、みんなが数学好きってわけではないのですが、細かいことは良いでしょう。
それでは、基本的にネタバレ無しでお送りします。
1巻の冒頭で出てくる数列の謎はずっと付いて回るので、最終的にどうなるかにも注目です!
理系の人におすすめ!問題を解くのが楽しくなる!(かも)
まずはこれですね。もちろん理系意外の方にもおすすめできる作品です(高校生の青春も描かれているから)が、やっぱりこれは理系の方にぜひ読んで欲しいですね。
理系だけど数学そのものには興味がない、という方も多いとは思います。僕自身、理学部数学科に行こうと考えたことは人生で一度もありません。
数学の研究とか楽しいの?
しかし、「青の数学」を読むと「人によっては面白く感じるのかもしれないなー」くらいには考えられます。それくらい数学の魅力のようなものが自然に描かれているんですよね。
数学に対するモチベーションが湧かない人や数学の問題を解けるようになりたい人は読んでみると良いでしょう。僕も今モチベーションが上がっています。これが一時的なもので終わらないと良いのですが…。
登場人物は猛者ばかり
この作品はすごいですね。読んでいるだけで自信を失いかねないほど、天才にしか見えない連中が出てきます。
主人公とヒロイン(ではない?)
まず主人公の栢山(かやま)、そして冒頭で出てくる少女の京(かなどめ)。彼らは僕から見たらどちらも数学の天才です。栢山は一度見た数字を忘れないという特殊能力を持っています。
ですが、二人の差は圧倒的(らしい)。栢山は数オリの予選敗退、京は国際数オリの2年連続金メダリストです。
冒頭で出てきて圧倒的なオーラを見せる京ですが、なんとその後はずっと出てきません。表紙に描かれているので、もっと登場するかと思いました…。
偕成(開成?笑)高校をはじめとする猛者たち。
また、1巻の後半では数学最強高校生が集まる合宿が開かれます。いくつかのルールで数学の問題を解く対決をする感じですね。
問題の一部は実際に小説の中で書かれているので、高校生以上の人は一度考えてみると面白いかもしれません。数学に自信がある人だったら意外と解けそうな感じです。
(ちなみに僕は、最後に出てくる問題をちょっと考えたけど解けませんでした…笑。)
そして、ここに集まってくる人たちも皆、数強揃いです。当たり前だけどね。
そして、癖が強い!数学が美しいと考えているだけでも、多くの人からしたら奇妙だとは思います。
しかし、この登場人物たちはシンプルに性格の癖が強い!数学者に対する偏見を持ちそうですね。
合宿に「偕成高校」の人たちが来てたのには笑いました。開成じゃん!笑
彼らは2巻でも中心的なポジションです。
なぜ問題を解き続けるのか、なぜ数学をやるのか
この問いはシリーズを通したテーマのようになりますね。
ちなみに僕の答えは、
・機械学習とかAIに興味があるから。
・論理的思考や脳の能力が向上するから。
・将来に役立つから。
とかですかね。
って、そういうことじゃなーーい!
上の3つは全て目的のための「手段」としての数学ですが、この場合のなぜは数学そのものを「目的」とした場合の問いです。
主人公は小さい頃の数学者との出会いがきっかけになったわけですが、なぜ数学をやるのかと、かなり思い悩みますね。
様々な登場人物の様々な思いに触れて、主人公は最終的にどのような考えに行き着いたのか、これは必見です!
抽象的で独特の文章。まるで数学の問題だな。
「青の数学」を読んでいて感じたのは、文章とか会話が独特だなーということです。
主語がスムーズに変わっている(栢山視点だと思っていたら、突然相手の視点に変わる)のとか、最初はかなり違和感がありましたね。
そして、登場人物のバックグラウンドがほとんど語られない点も独特です。会話の節々のようなちょっとしたやり取りや、回想シーンなどから推察するしかないような感じです。
あとは会話ですね。なんと言うか、やけに抽象的な概念ばかり話している気がします。「それでも」が口癖の高校生とかおらんやろ、と思いますね。
数学と関係ない同級生たちの話も抽象的なことばかりで、大きな特徴になっていると感じました。
感想まとめ:やっぱり数学だわ
ここまで色々と書いてきましたが、もちろん話の中心は数学です。数学とは何か、なぜ数学をやるのか、なぜ数学の問題を解く決闘をするのか、話は全部「数学」に収束します。
数学に「美」を求めて孤独に向き合う人もいれば、他人との才能の壁を感じて数学から離れていく人もいます。
数学に興味がある人、特に数学科の大学生&院生などに強くおすすめできる内容ですね。研究に行き詰まっている学生も登場するため、思うところがあるかもしれません。
そしてテーマは数学と言いつつ、悩みは皆共通かもしれないな、とも思います。数学に限らず、才能について悩んでいる全ての人におすすめできる内容になっています。
それと関連して、印象に残った一言を引用して終わりたいと思います。主人公の言葉ではないのですが、、、
「数学を始めた頃は、解けない問題もどう解くのか理解すれば、やがて解けるようになった。でも進むにつれ、解けない問題を解けるようになるのが少しずつ難しくなった。ある程度まで登ってきたからこそ、数学の高さというものが、次第に自分には越えがたいものに見えてくる。目の前にある勾配が、乗り越えがたいものに見えることもある。
青の数学(1)
それさえも、乗り越えられる人間がいる。
今、自分の周りにいつ奴らのように。
励みとしながら、同時にそれは重圧にもなっていく。」
「数学」の部分を自分のやっているものに置き換えると、思うことがあるのではないでしょうか。これは1巻での言葉ですが、2巻でこの登場人物がどういう選択をし、最終的にどうなるのかは結構な注目ポイントです。