「君に出会えてよかった」
全てをひっくり返しかねない展開、青ブタ完結!!
みなさんこんにちは。ついに……青ブタが完結しちゃいましたよ!
前回はアーティスト霧島透子の正体が美東美織だったこと、本物の霧島透子はあのクリスマスに亡くなっており、それによって翔子さんが今も生きているという事実が明らかになりました。
そして美東によって書き換わった現実を元に戻すため、唯一事実を知っている咲太と翔子さんが美東と話す……というところから開始となります。
今回は最終巻にふさわしい、青ブタらしい話だったと思います。思春期はいずれ終わるもの、咲太はどう大人になっていくのでしょうか。後半はネタバレ注意!
あらすじとネタバレなしの感想
翔子と共に美東に会いにいく咲太。透子が亡くなる直前に書いていた曲『Turn The World Upside Down』には秘密が隠されており……。
真実に気付いた美東は「霧島透子」として歌うことを決意し、麻衣さんが出るはずだったらステージへ上がる。
これで書き換わった現実も戻る、そう思われたが…?簡単には終わるわけがない、青春ブタ野郎シリーズ完結!
これですね、最初の数ページでもう解決しそうだな〜と思わせてからの展開です。
最後の歌詞が「君に出会わなければよかった」で終わる『Turn The World Upside Down』ですが、咲太と翔子さんはこの歌詞には続きがある、というか前半の歌詞を反転させることによって曲が完成するのではないかと考えます。
そうすると曲の最後の歌詞が「君に出会えてよかった」になる、ということです。まさに曲名の通り、逆さまの歌詞によって意味も逆転するという工夫で、これは素直にすごいと思いました!
そして麻衣さんの代わりに(と言うか美東が本物なわけですが)「霧島透子」としてライブに出場する美東。これが表紙のシーンです!
今さらですが最終巻の表紙が美東なんですよね……。前回の表紙は麻衣さんでしたが、今回と逆ではないのが少し意外でした。
あとは麻衣さんに対して諸々の事情を説明したシーン。
「麻衣さん、僕がこんな嘘を吐くと思う?」と聞いた咲太に対して「思わない」と即答したのが本当に良かったです。バニーガール先輩の事件から約3年が経過し、2人が重ねてきた時間の長さを感じました。
霧島透子に関する世界の認識は戻ったが……周囲で書き換わった現実は戻らない
自身が霧島透子だと思い込んでいた麻衣さんも認識が戻り、ひとまずこれで解決、とは行かないんですよね。もう一段階の動きがあるのが青ブタらしいところです。
美東と共に江ノ島へ行き、透子に関する話を聞いた帰り、咲太は古賀に会います。元の世界線では都内の女子大に進学するはずでしたが、まだ咲太と同じ大学に通っていることに……。
つまりまだ”かえで”がいるかもしれない、そう思った咲太はダッシュで家へ向かいます。ここ完全に『君のせい』が流れそうでした。アニメ化した時は頼みます🙏
美東と咲太。特殊な2人が出会ったことで世界が書き換わっていた……
もう1人の咲太は優秀らしいので、現在の状況についても正しく認識しています。要点としては、
やはり今回の原因は咲太にあったわけです……。ランドセルガールの時のように、青ブタの最後を飾る思春期症候群はやはり主人公咲太です。
そして咲太は、もう1人の咲太から「思春期症候群を否定しろ」と言われます。特殊な立場である咲太が思春期症候群を否定することで、混ざっている現実が元に戻ると言うのです…。
やばいーーー、全てをひっくり返すような恐れていた展開が来てしまった…
中学時代の翔子さんとの出会いから始まり、麻衣さんや花楓など、思春期症候群を否定したら全てがなくなってしまうのか、その時周囲の人との関係は?
『ハツコイ少女』の時のような、シリーズのクライマックスらしい絶望感(?)です。
大人になるため、咲太は始まりの場所へ……
悩む咲太に、さらに追い討ちをかけるような出来事が起きてしまいます。次の日に麻衣さんと向かった大学では、今度は美東が他の人から見えなくなっていました。やはり咲太が全ての鍵になっているようです……。
さらに麻衣さんからは「同じ景色を見ていたい」(早く大人になれ)と言われてしまいます。いや、大人になるとかいうレベルの話じゃないと思うけどねw。
美東は別の可能性の世界へ行き透子を取り戻すことを決意、咲太は野生のバニーガールを見つけたあの図書館へと向かいます。
シリーズ最終巻のクライマックスで、1巻の冒頭に戻ってくる。王道な展開ですが最高です!
そして、そこにいたのはバニーガール先輩……ではなくランドセルガールの方でした。思えば大学の入学式で小学生麻衣さんを見かけた話がありましたが、その頃から思春期症候群は続いていたんですね…。
青春ブタ野郎シリーズを振り返り、そして未来へ……
小学生麻衣さんと共に、古賀と行った水族館へ来た咲太。さらに双葉&国見と花火を見た海岸、そして翔子さん&麻衣さんとの、あの弁天橋へ。
弁天橋のそばで考え込んでいた咲太でしたが、気付けば小学生麻衣さんはいなくなっていました。
その後も花楓や古賀、双葉、翔子さん、そしてかえでと言葉を交わします。
この一連のシーン、それぞれの会話は短いものの非常に中身が詰まっていたと思います。やっぱり翔子さんは最高だしな!!
そして、別の世界へ旅立つ美東を見送る前に買ったのは、、、スマートフォンでした。
麻衣さんに電話をかけ、同じくスマホを買っていた美東と連絡先を交換。再会を約束し、美東は透子を取り戻すために他の世界へと旅立って行きました。
前回翔子さんに、美東は咲太のタイプだと言われていましたが、今回の会話全体を見ているとそれも分かります笑。麻衣さんに翔子さん、そして美東。咲太本人は麻衣さんに一途なのに、なんか全員と付き合っているように感じてしまいます。
それはさておき、最終巻で印象に残ったやり取りは美東が旅立った直後です。小学生麻衣さんがまたやって来たのですが、咲太は「大丈夫」だと言います。
「子供の頃、おばけに見えた天井の模様もさ。大きくなると、もうおばけには見えなくなるんだよ」
「おばけには見えなくても、天井の模様はずっとそこにあるんだよ。なくなるわけじゃない」
思春期症候群を否定するのではなく、”思い出に変える”。咲太が導き出した答えでした……。
二転三転する話、悩みながらもそれを乗り越えていく咲太、そして印象に残る名言。
これまでの青ブタのクライマックスは『ゆめみる少女』と『ハツコイ少女』だと思っていましたが、その頃が戻って来た最終巻でした。
そして、最後はもちろん本物の麻衣さんと2人、七里ヶ浜でのエンディングです!
エピローグ:それから2年
そしてエピローグでは一気に2年以上の時が流れ、大学4年生になります。シリーズ開始の時点から数えれば5年が経過しているわけです……。
このエピローグは全体的に心に来ました。思い出せば、青ブタを初めて読んだのは自分自身が高校2年生だった頃でした(前回に引き続き、突然始まる自分語り)。
まさに自分の5年間と咲太の5年間が重なるような感じで、勝手に感動しています……。
卒論の話や就活の話など(僕は大学院に行きますが、そう遠い話ではありません)、個人的にグッとくるものがあります。
さて、自分語りはさておき咲太たちですよ。
そして咲太は今、峰ヶ原高校で教育実習をしています。教室の最前列には、高校3年生になった翔子さんもいます(泣)。
生徒にから麻衣さんとの関係を聞かれた時には『さくら荘』を思い出してヒヤッとしましたが、大丈夫でした……!
一瞬もったいぶる感じだったので、作者の鴨志田先生も意識したか?と思いました笑。
そして感動したのは、教室で他の人には見えない誰かと話している子を見かけるシーンです。
もう咲太には天井のお化けは見えませんが、生徒を信じて相談に乗ることはできる。まさに大人になった場面だったと思います!
気になるラストシーンは美東のことを考える場面でした。2年間が経ってもこの世界には戻って来ていないようですね。ここは是非短編集で回収されてほしい話です!!
青ブタ最終巻まとめ
いや〜〜ついに終わってしまいましたよ……。
短い中にさまざまな要素が詰まっており、最高に青ブタらしい話でした。
あと個人的なポイントは最後の関係者からのお祝いコメント、そして溝口ケージ先生が描く翔子さんです。
体調の関係で本編の挿絵は最小限、前回も今回も翔子さんの挿絵はありませんでした(と言うかおそらく沖縄からの手紙以来)。仕方ないことですが若干残念にも思っていたので、まさかのサプライズでした!!!
なんか前回に引き続き翔子さんへの感想が多くなってしまいましたが……。
これで青ブタは完結となりますが、本当のラストとして、まだ短編集があります。
まだ内容については決まっていないようなのでいつになるかは分かりませんが、その時にも必ず記事を出します!